神社に参拝することを習慣にしている人が増えてきました。
初詣ともなると、延べで9000万人前後の参詣者が訪れるほどです。
寒い時期のお正月三が日、長蛇の列に長時間並ぶのは大人でもキツイのに、もしも赤ちゃんや小さい子連れでの参拝するとしたら本当に大変なことですよね。
「ベビーカーで参拝、自粛のお願い」の賛否
2017年年頭に問題となったのは、板橋区のお寺が境内に貼りだした「ベビーカーご利用自粛のお願い。年末年始は境内混雑のためご入門をお断りする場合がございます。」の看板を見た人の写真付きツイートが拡散されて炎上してしまいました。
それまでバリアフリー化を進めて整備されていて大変気持ちよく参拝できた経験のある人は、急にそんなことを言われてしまったら確かに驚きますし、「ここは大丈夫」だからとベビーカーや車いすで参拝しようと訪れた人は困ってしまいます。
なぜこんなことになってしまったかというと「ベビーカー使用者」に良識がなかったために、一般参拝者の不満を招いてしまったことが原因です。
「10歳ぐらいのこどもをベビーカーに乗せていて、境内では走り回ていた」
「1台のベビーカーに連れが6人ぐらいゾロゾロついていってズルい」「でもツレなのだから離れてしまうと帰りに困る」
「ベビーカーに躓いたお年寄りがけがをした」
お寺側もホスピタリティをつくして使いやすくしようと心を砕いているのに、一部の非常識な人のために参拝自体が不快なものになってしまうのは、なんともやるせないですね。
ベビーカーで参拝のハードル1、場所の問題
街をバリアフリー化するということは時代の要請なの、公共施設のバリアフリー化はどんどん進みつつあります。鉄道や公園、市役所、文化施設などどんどんスロープやエレベーターが設置されつつあります。
しかしお寺や神社にもエレベーターやスロープが設置されるところもできてきたとはいえ、まだまだバリアフリー化は進んでいません。
誰もが参拝できる公共的な場所であると同時に、そこは鎮守の森に守られ”いわ境”をもって神様の坐します神聖な場所であるのです。
人々が集まるにぎにぎしい場所である境内と、神々が鎮座する本宮・奥宮とははっきり分ける必要なあるのでしょう。
神様が鎮座する特別な場所では、参拝の礼儀をわきまえなければならないでしょう。
にぎにぎしい場所であれば”無礼講”で、とTPOをわきまえて行動すれば人に嫌な思いをさせないですむと思います。
神社での”礼講”と”無礼講”の場をわきまえる
日本のご神事である祀り(祭り)は、神と人が共に同じものを食する神人共食が基本形で、神に奉納した神酒をなどをお下がりとして参列者がいただく機会を直会(なおらい)といい、礼講とされます。
直会の後二次会など行われる宴席のことを無礼講とすることが、本来の意味です。
日本神道の徳目は”礼”にあると言われます。
礼を尽くす場所と”ご無礼”する場所を分けて考えることで、ベビーカーや車いすの乗り入れについても判断ができるのかなとおもいますね。
神社に行くと一の鳥居の前に「車止め、馬止め」などと書いてある看板を見たこともあるかと思います。
鳥居をくぐって社地に入るときは「境界線」を超えて神聖な場に入るということであり、車や馬など場を荒々しくするものを入れないという考えがあります。
ベビーカーも車輪がついているので基本的には止められるものなのでしょうが、現在はより隔てなく多くの人が寄ってほしいという神社の努力もあり、神社のバリアフリー化が考えられるようになったのです。
神社は礼儀を尽くすところであるという基本に立ち返り、社務所などに連絡をし前もってベビーカーでの参拝が可能かどうかを問い合わせることで解決できると思います。
ベビーカーで参拝のハードル2、日時の問題
赤ちゃん連れや小さい子供連れの場合は、トイレやオムツ交換、授乳室の有無など調べてく必要があります。
お寺さんは修行の場という面も強いのですが、神社の場合は「神様」のお社であるわけです。境内やそこらへんで用を足すなどはもってのほかです。
神社への参拝は通常は午前中に行うことが推奨されますが、初詣などは除夜祭にでてから年を越し初詣するというケースも多いですね。それで2年参りになるという意味があります。
お正月の寒い時期の深夜ですから、冷え込みます。
そして長蛇の列をひたすら並んでお参りという、大人でも眠いし寒いし疲れるしで大変なのです。
そんな時に赤ちゃん連れでお参りしたとしたら・・・。
しかもベビーカーで乗り入れたとしたら・・・。
連れていく人も大変なうえに、周囲にも白い目で見られそうです。そもそも赤ちゃんは大丈夫なのでしょうか。
赤ちゃんがいるうちは、生活は赤ちゃんに合わせることが一番自然だと筆者は思います。
家族の中の一番弱い立場の人に合わせてイベントスケジュールを立てるのです。
そう考えれば、初詣は松の内の平日の日中がもっともベビーカーでの参拝に適しています。
ベビーカーで参拝のハードル3、赤ちゃんが神社で霊的影響をうけない?
いろんな迷信があって小さいころお寺で遊んでいると言われたことがあります。
「転んだらいかんよ。寿命が縮まるよ」とかね。
だいたい神社やお寺の階段とか境内は、子どもの遊び場だったのです。ポコペンとか缶蹴りとかよくやって遊びました。
こども神輿などかつぐ神社は多くて、子どもと神社はとても近しい関係にあったのです。
いまでもドラマで夜落ち合う場所として神社が登場しますし。
そもそも子どもと神社のつながりは、おなかの中にいる時から始まります。
帯祝い(おびいわい)
帯祝いとは、戌の日に行う安産祈願のことです。
だいたい安定期に入った妊娠5か月以降の戌の日に、腹に巻くさらしを持ち込むか、祈願の時にいただくかして安産となるように家族で祈るのです。
筆者の場合は妊娠5か月になった最初の戌の日に、安産祈願で有名な観音さまにお参りし、祝いに「アワビ」を食しました。
「目のキレイな子が生まれるよ」と義母が奮発してくれました。
宮参り(みやまいり)
赤ちゃんが生まれて、男の子ならば31日目に、女の子ならば32日目に土地の産土神様にお参りする行事を宮参りとか産土参りといいます。
筆者の嫁ぎ先の産土神様の参道には長い階段があるので、略式で「坂下参り」といって、鳥居の下でお参りしました。
人は生まれる時に産土神様のお世話になって生まれてこられるのです。
ですから、無事に生まれてきたことを感謝すると同時に赤ちゃんが氏子に加わることをご挨拶するのです。
七五三まいり
女の子は3歳と7歳で、男の子は5歳で神社にお参りし、成長を報告し無事に育ったことに感謝を申し上げます。
こんな風に、子どもと神社は深くつながっています。
小さいころから見守って下さった氏神様・産土神様に年の終わりと初めに2年越しにお参りすることを「初詣」といいます。
ですから本来は産土神様に初詣に行くのが筋です。そこで1年の疲れをお祓いすることで、悪い霊的影響を受けることはありません。
祓い清めることなく、大勢の人が押し寄せる大きな神社などにいきなりお参りして疲れがひどい場合「憑かれ」ていると考えられますね。
「ベビーカーで参拝」に欠かせないチェック事項、社務所に問い合わせすること
■社務所に連絡しベビーカーでの参拝が可能かどうか
■参道の状態(砂利?敷石?土?)
■拝殿までスロープがあるか?
■トイレの場所とオムツ交換台はあるか
■授乳室などあるか
■参拝時間の確認
ベビーカーで参拝可能な神社・仏閣
水天宮(すいてんぐう)
久留米の水天宮は久留米藩歴代藩主(有馬家)により崇敬されおり、文政元年(1818年)9月、9代藩主有馬頼徳が江戸・三田の久留米藩江戸上屋敷に分霊を勧請し、江戸の水天宮の始まりとなりました。
安産・子授けの神として人々から厚い信仰を集め、妊婦や子供を授かりたい夫婦あるいは無事出産できた夫婦などが、安産や子授かりの願掛けやお礼参りなどで人気の高い著名なお宮です。
建物外構は鉄筋コンクリート造で、駐車場から境内に上るエレベーターが設置されています。
ご祭神/天御中主神、安徳天皇、高倉平中宮、二位の尼
ご神徳/安産、こ授け、日本橋七福神(弁財天)
祈願受付/午前8時~午後3時30分
住所/東京都中央区日本橋蛎殻町二丁目4番1号
アクセス/東京地下鉄半蔵門線 水天宮前駅(5番出口) 徒歩1分
問い合わせ先/03-3666-7195
愛宕神社(あたごじんじゃ)
1603年、慶長8年、江戸に幕府を設く徳川家康公の命により防火の神様として祀られました。
祭礼などには下附金を賜るほど、当時の幕府の尊崇は篤いものだったといいます。
その後江戸大火災で全焼してしまいましたが、明治10年、9月に本殿、幣殿拝殿、社務所の再建がなりました。
大正12年9月1日、関東大震災に、昭和20年5月24日帝都大空襲により太郎坊神社を残し社殿は焼失。昭和33年9月、氏子中の寄付により、御本殿、幣殿、拝殿などが再建され今に至ります。
東京1高い所にある神社として人気の神社です。
愛宕グリーンヒルズプロジェクトの一環でつくられた愛宕エレベーターに乗って愛宕神社やNHK放送博物館に行くことができます。
ご祭神/火産霊命(ほむすびのみこと)〈火の神〉
配神/罔象女命(みずはのめのみこと)〈水の神〉、大山祇命(おおやまづみのみこと)〈山の神〉、日本武尊(やまとたけるのみこと)〈武徳の神〉、将軍地蔵尊・普賢大菩薩
ご神徳/火に関するもの、防火、防災、印刷、コンピューター関係、商売繁盛、恋愛、結婚、縁結び
祈願受付/10:00~15:00
住所/東京都港区愛宕一丁目五番三号
アクセス/東京メトロ日比谷線「神谷町駅」より徒歩5分
問い合わせ先/03-3431-0327
熱田神宮(あつたじんぐう)
3種の神器の一つと言われる草薙剣(くさなぎのつるぎ)をご神体としている名古屋の神社です。
信長や家康の尊崇熱く、信長塀など見どころも多い神社です。
毎月朔日市がたち、限定販売の朔日もちを購入する人が行列をなしています。
境内は砂利なので、ベビーカーは押しづらさもありますが、拝殿に登るスロープが設置されていますし、こころの小径にも途中まで入っていけます。
ご祭神/熱田大神(あつたのおおかみ)
配神/天照大神(あまてらすおおかみ)素盞嗚尊(すさのおのみこと)日本武尊(やまとたけるのみこと)宮簀媛命(みやすひめのみこと)建稲種命(たけいなだねのみこと)
祈願受付/8:30~16:00
住所/愛知県名古屋市熱田区神宮1丁目1-1
アクセス/名鉄神宮前駅下車3分
問い合わせ先/052-671-4151
厳島神社(いつくしまじんじゃ)
広島湾に浮かぶ厳島(宮島)の北東部、弥山(標高535m)北麓に鎮座します。厳島は「安芸の宮島」とも呼ばれ日本三景の1つに数えられている景勝地でありユネスコ世界文化遺産にも登録されているほどです。
平家からの信仰篤く平清盛により現在の海上に立つ大規模な社殿が整えられました。社殿は現在、本殿・拝殿・回廊など6棟が国宝に、14棟が重要文化財に指定されているほか、平家の納めた平家納経を始めとした国宝・重要文化財の工芸品を多数納められています。
バリアフリー化が進んでおり、ベビーカーや車いすで乗り入れ可能になっています。
どの社寺にもあらかじめチェック事項を確認することは必須です。
ご祭神/ 市杵島姫命、田心姫命、湍津姫命
祈願受付/9:00~16:00
住所/広島県廿日市市宮島町1-1
アクセス/JR西日本 宮島口駅
問い合わせ先/0829-44-2020
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