冬至から立春までの行事の本当の意味を古代にならって吉「開運」する

ユズ湯



冬至(とうじ)カボチャにユズ湯など、日本に残る冬至の習慣があります。一年中無病息災(むびょうそくさい)を祈る習慣だと言われることが多いのですが、この習慣が縄文時代に発祥しているとしたら驚きませんか?縄文人はなぜそのような習慣を持っていたのでしょうか。令和にいきる私たちの中に眠る縄文人をすこし思い起こしてみましょう。

冬至から立春までの行事で家でできることを、その効用ややり方なども含めて取り上げていきます。

冬至に行うこと

冬至に行うこととして、冬至カボチャを食すとかユズ湯につかるというものがあります。

冬至カボチャのレシピと効用

冬至カボチャ
ohsakaさんによる写真ACからの写真
材料
かぼちゃ 4分の一カット
水 100ml
小豆の缶詰(砂糖入り) 250g
しょうゆ 大1

① 種とワタを取り除いたカボチャを一口大にカット
② ①を鍋に入れ水を入れて沸騰したら弱火で5分~8分蒸し煮
③ ②に小豆としょうゆを入れ、水分がなくなるまで煮詰める
④ ③を器によそい完成

「冬至にかぼちゃを食べると風邪をひかない」と言い伝えられています。これは、夏に採れたカボチャを長期保存して、野菜が不足がちになる冬至のころに栄養豊富な緑黄色野菜を摂り、不足しがちな冬場のビタミン補給源としたのです。
「小豆かぼちゃ(冬至かぼちゃ、いとこ煮)」はかぼちゃを一緒に炊き込んだ小豆のぜんざいで、当時にいただくことを習慣とする地域もあります。

ユズ湯のやり方と効用

ユズ湯 torayukiさんによる写真ACからの写真
「ユズ湯」というと食べるものと浸かるもの二つがありますね。食べる「ユズ湯」は熱が出た時など食欲の無い時ににおかゆの代わりにいただくものですが、冬至に浸かる「ユズ湯」のやり方をお伝えします。ゆずには100g中40mgのビタミンCが含まれていてレモンよりも含有量が多いのです。さらに皮から実まで全部使えるのもいいですね。ちなみに皮のビタミンC含有量は150㎎ということなので、お風呂には皮だけでも効果がありそうです。

お湯に柚子をまるごと浮かべるのはたのしいですね。ただ、丸ごと浮かべるだけでは柚子の効用がうまく生かしきれません。なので、皮にフォークなどで穴を開けるとか、ナイフで切り込みを入れるなどの加工が必要になります。なので、柚子を丸ごと使うのは庭の柚子が実をつけすぎて、有り余っているときにはいい方法と言えます。ですが、お店で買う柚子は数が限られますから、一個一個の柚子さんに敬意を払って使わせていただきましょう。

というわけで、ユズ湯をいただきながら(浸かりながら)美味しくいただいて使いきる「柚子仕事」をしましょう。

柚子の効用

クエン酸効果で疲労回復、カルシウム・鉄分の吸収率アップ、胃液の分泌促進、食中毒予防
ビタミンC効果で風邪予防、美肌効果、免疫力アップ、がん予防、アンチエイジング
リモネンなど東洋的な香り(精油)で気分をスッキリリフレッシュする、血行促進、殺菌効果、消臭効果

柚子仕事

■柚子の果汁/半分に切った柚子をフォークなどで絞る
・ゆずポン酢・・・しょうゆ5:ゆず果汁4:酢1
・柚子ジュース・・・ゆず果汁:ゆず果汁の10~20%の酢で冷蔵

■種の化粧水
・種を洗わず日本酒か焼酎につけ、瓶にしっかりと蓋をして冷蔵し2週間ほどでゼリー状になったら液体をこして使用

■皮/白いワタはこそげ落とす
・マーマレード
・漬物・・・白菜やダイコンなど
・お料理用(吸い口など)
・柚子胡椒・・・ゆずの皮をすって赤や緑の唐辛子をあわせる
・ユズ湯・・・ネットに入れて湯船に浮かべる

柚子をたくさんいただいたりしたとき、冬至でユズ湯に入ろうと思ったときのご参考に。
ユズ湯は当時だけでなく、柚子の皮がある日は楽しみたいですね。

クリスマスの過ごし方

クリスマスはキリストが生まれた日とされていますが、「私たち人間のなかに命の灯が生まれる日」のことを象徴しているとシュタイナー派はいっています。冬至に近く、一年で一番夜の長い日。太陽の光が弱いこの日、天岩戸を開いて光が大地に差し込むイメージです。まだ空は寒く木は枯れたままですが、立春に芽吹くよう大地の中でじっと温まっています。この日、天使たちは、私たちのために喜びの歌を歌うと言われています。

楽しいクリスマスパーティ、派手なクリスマスリースにキラキラツリー、電飾もステキですが、元気にこの日を迎えることを静かに家族でお祝いするクリスマスも味わい深いですね。

年越し行事

年を越して新年を迎えるにあたり年末にする行事について取り上げます。

すす払い

煤払いとは、家の天井や壁についた煤・ほこりを払うことです。かつては12月13日に行ったそうです。まだ、かまどで煮炊きをしていたころ、今のように天井は張らず、たいてい梁がむき出しでした。煙でいぶされた天上は煤で真っ黒になっていました。すすを払うことは年に一度の大仕事だったのです。神社などでもすす払いの日を設けていて、神様の降臨をあらわす紙垂(しで)をつけた、長い竹の穂先で社殿などの高い部分を祓って新年に備えます。お掃除もご神事なのですね。

一般の日本家屋では、すす払いだけでなく、お天気のいい日に障子の張替え、畳干しなど家族総出で大掃除をしていました。昔の家事はほんと、大変でしたね。昭和の中頃までは田舎のそんな家も多かったと思います。

今の家は、日ごろの手入れも楽になってきていますし、無害で良い洗剤もあります。日頃の手入れさえしていれば殆ど大掃除の手間はかかりません。やるとしたら、レンジフードの中のファンやエアコン、浴槽のエプロンを外した内側、もしガラスに水垢などついていたらそれをこそげ落とす、網戸など。お風呂の最後の人がガラスの水分をふき取っておくだけで水垢は殆ど撃退できます。

年越しの大祓い

神社で行われる大祓式(おおはらえしき)は年に二回行われることが多いです。本格的な夏の初めの6月30日と年始前の大晦日(おおみそか)の二回です。人間、生きていれば自分でも知らずに犯してしまっている罪もあるでしょうし、氏神様や地域の大きな神社の大祓式に参加して、半年でたまった罪穢れを清めましょう。ちなみに、知らずに犯してしまっている罪の方が罪深いモノなんです。

二年詣り

大晦日の夜、氏子(うじこ)が大晦日の大祓を済ませ、夜な夜な神社に集っておコモリし年をまたいでお詣りするならわしが今も姿を変えて残っている地域は多いでしょう。

その年厄年を迎える氏子たちを中心に、大晦日の深夜から氏神様にお参りする人たちを甘酒やおでん、1号桝(ます)のお神酒などで接待するのです。年をまたぐので「二年詣り」といいます。

交通機関の発達により、戦後になると歩いて行ける近所の氏神様だけでなく、遠くの大きな神社への二年詣りをする人が増えました。108つあるという煩悩を追い払う除夜の鐘ならぬ、参詣者同士でカウントダウンがしたくてお参りする人も増えてきました。

年明けの行事

年が明けてからの行事を取り上げます。

お雑煮(ぞうに)をいただく

お正月、はじめて口にするのは「お雑煮」ということも多いのではないでしょうか。朝起きて家族と初めてかわす言葉は「おはよう」ではなく「あけましておめでとう」です。そしておなじみのあの、お餅の香り。鰹節の香り。

なぜ正月にお雑煮をいただくのでしょうか。餅とは「百(も)の神霊(ち)」をあらわしていて、杵(きね)で餅を一突きするごとに神様が餅に宿るとして、ついて、ついて、おいしい餅にしお正月にいただくことで、神様を身に入れるのです。

神社でおこなわれる「神嘗祭(かんなめさい)」とか「新嘗祭(にいなめさい)」というご神事があり、その年の新米を神様に献上し食していただくというものです。年間のご神事のことを総称して「嘗め事(なめごと)」ともいうように「食す」ことは大変に神聖で大切なことでした。

初詣(はつもうで)

家族に子どもがいる場合は、お正月三が日、もしくは松の内(7日)までに神社にお参りすることが多いかもしれません。元旦の場合、大きな神社は0時から夜20時ごろまでは参詣やご祈祷を受け付けるところが多いですが、近所の氏神様は元旦の朝には焚火(たきび)の残骸だけ・・・という神社あります。氏神様にお参りするなら大晦日の夜からお参りする二年詣りを、子どもを連れて出かけるなら、少し足を延ばして大きな神社へ初詣に行くというスタイルがいいかもしれません。

■初詣のおススメ日時
名古屋市民であれば熱田神宮、東京に住むなら明治神宮、大阪市民なら住吉大社というような、三が日の参詣者が200万人を超えるような神社へ参拝する場合、混雑を覚悟しなければなりませんが、比較的空いている時間というものはあります。

元旦/4時~8時
2日、3日/6時~9時

神社によっては開門時間やご祈祷受付時間が異なるので個々に調べる必要がありますが、三が日の初詣は通常のご祈祷が始まる前の早朝が狙い目です。
前年にいただいたお神札(ふだ)や役割を終えたお守りなどは、初詣の際に古札納所に納めましょう。

お年賀

神様への新年のご挨拶を終えたら、親戚やお世話になった方々のお宅へお邪魔してお年賀を申し上げます。そしてお屠蘇(おとそ)やお節料理の振る舞いをしたり受けたりしました。お正月に親戚が集まる習慣が残っている家族も多いですね。

友人や恩人へのお年賀は、今では「年賀状」という形でお年賀訪問の簡易版にとってかわり、年賀状自体もメールやSNSなどで「あけおめ!」するように変化してきました。

七草がゆ

1月7日に近づくとスーパーなどでも見かける「七草セット」。それで、ああもうお正月も7日になったんだと気づくこともあります。このころから学校や仕事始めとなることも多く、お正月休みを〆る意味でもいいきっかけになるかもしれません。

鏡開き(かがみびらき)

1月11日。地域によっては異なるようですが、1が三つ並ぶこの日は一般的に「鏡開き」の日です。床の間や神棚、玄関先などにお飾りしたお鏡餅(かがみもち)を、手で割って善哉(ぜんざい)などにしていただきます。

鏡とは皇位継承する重要な三種の神器のひとつ「八咫鏡」を指します。餅とは「百(も)の神霊(ち)」のこと。鏡餅は年神様をお迎えし、八百万の神々がやどる依り代なのですね。お正月前の12月28日に餅つきをして、お正月に神々をお祀りするならわしです。11日にそれを割って、家族が口にすることで、神々を家族が宿すことができると考えられたのです。

昔ながらの(隙間のある)日本家屋で床の間に鏡餅を飾っておくと、11日ごろには乾燥していい感じにヒビがはいって手で割れやすくなります。それを水に2~3時間つけて水餅にしたあとザルにあげ、表面が乾いたところで焼き、用意しておいた善哉の汁に浸すと、絶品善哉がいただけます。11日のおやつの楽しみです。家族がいる時間に全員に食していただき、神様を宿していただきたいですね。

① 鏡餅を手で割る。包丁を使ってはいけません。プラスティックの丸い形で鏡餅をかたどり、中に入っている小さい丸餅に切り込みを入れてあるタイプのものであれば、カビも生えず、水餅にする手間もなく手で割れるので便利です。
② 表面が乾燥して固くなっていれば、水に2~3時間浸ける。
③ 善哉は砂糖入りのあずきの缶詰をつかって好みの味付けに調整します。塩を適量入れます。乾燥小豆を使う場合は、2時間ほど水に浸けてから味付けし、軟らかく煮ます。
④ 餅を焼く。トースターで焼く場合は網にレモンなど擦り付けておくとくっつきにくいです。フライパンで焼く場合は、くっつきに注意。油をひくと「揚げ餅」風になりそれはそれで美味ですが、善哉に入れる場合は小豆の風味を損ないます。
⑤ ③に④を入れて熱々をいただきます。

鏡開きの日だけいただくにはもったいないおいしさです。

節分行事

一年の最も重要な節目に「冬至(とうじ)」と「夏至(げし)」があります。神社では冬至と夏至近くに大祓式が設けられています。二つの節気の中間に「春分(しゅんぶん)」と「秋分(しゅうぶん)」があります。さらに「冬至」と「春分」の真ん中に「立春」があります。これで八つの節分があるということになります。さらに小分けして合計で24の節分があり、「24節気」ともいわれます。たくさんある節分の中でも立春は日本においてはかなり重要視され、前日に行われる行事は幼児のころからおなじみの「豆まき」などの形で残っています。

節分行事の原型

節分に鬼が出てきて「おにはそと、ふくはうち」といって豆をもって鬼にぶつけ退散させる・・・という形が一般的でしょうか。いろいろな解釈があり変化している地域もあるようですが、「鬼とは何のこと?」「大豆で追い払う意味は?「掃除が大変だし、もったいないので殻付きビーナッツで代用してもいい?」「袋入りでもいい?」「始末が大変だから家ではやらなくていい?」など、疑問に思えることがたくさん湧き上がってきます。

節分行事に込められた本当の意味を知ることで、そのエッセンスを今の暮らしに写し、行事から本当のパワーを得ることができるのではないでしょうか。

冬至や節分に行う行事・嘗め事(なめごと)のはじまり

古事記や日本書紀の原書ともいわれている『ホツマツタヱ』や『ミカサフミ』に記されている「嘗め事(祭事・ご神事・おまつり)」はどのような内容だったのでしょうか。伊勢神宮内宮(いせじんぐうないくう)に毎日の食事を運ぶお働きの外宮(げくう)の神である豊受大御神(とようけのおおみかみ)が決められた「なめごと」の内容は次のようでした。

ヱト(兄・弟)の神

一年の冬は「ヱ」神が治め、夏は「ト」神が治めることしました。二人で交互にめぐることにより長く国を潤すことを期待されています。30の神とそれぞれの「ヱ・ト」で60の神が毎日日替わりで360日を守る。12月29日、年の瀬、1月6日、1月14日、5月30日の5日を「ウツロヰ」が守って、あわせて365日一年をまもる。このうちに「ト」「ホ」「カ」「ミ」「ヱ」「ヒ」「タ」「メ」八節の嘗め事を行う。

冬至から立春までにおこなう「ヱ」の嘗め事

・冬至に一陽を招き、太陽の巡りが順調であるように調整すること、これを新嘗(ういなめ)という。黒豆ご飯を食す。
・「ヱ」の嘗め事により木の根っこに滋養が送られるが、立春頃には「ヱの嘗め(一陽)」は尽きてしまう。
・年の瀬の夜に大豆を煎り、鬼やらいをする。(嘗めが尽きかけているため?)ハエ(ウラジロ科、しめ縄に使用)、ユズ葉(次の年へゆずり渡すため)、大麦(年越し草)で年を越す。

新嘗祭でチャージしたパワーが尽きる年の瀬の行事

新嘗祭(にいなめさい)は、地球の傾きを調整し太陽の巡りが順調であるように「一陽(いちよう)」を迎え入れる行事だったようです。新天皇が誕生した年は「大嘗祭(だいじょうさい)」として行われ、新天皇が太陽神・天照大御神と一体となる嘗め事が行われます。もともとは冬至に行われたようです。その日、黒豆ご飯を食します。その意味は説明されていませんが、年の瀬頃には「一陽」パワーが尽きてしまうため、鬼(オエ・クマ・ヌエ・アシモチ、罪穢れ)に入られないように煎った豆をまくということです。煎った豆を、鬼は好んで食すのでしょうか。『ホツマツタヱ』に語られる”ハタレ”退治では、揚げたネズミなど、敵の好物で気をそらせて召し取るという方法が語られているので、同じ意味があるのでは?と想像されます。それに煎った豆は大地に撒いても芽を出さず大地に還るだけです。大地の滋養にはよさそうですね。

年の瀬に、しめ縄をかけ、ユズリハを飾り、蕎麦で年越しをします。ゆく年からくる年へ無事にバトンを渡すために、細心の注意を払っていることがわかります。現在では、年末にしめ縄を玄関に飾り、ウラジロを敷いて鏡餅をお飾りします。鬼やらいは立春の前日の節分に行われています。

一年の内でも最も大切な冬至から立春までの過ごし方

今でも冬至カボチャとかユズ湯に入るなど、冬至に行う行事が家庭で残っていることや、年末から年始にかけての二年詣りがますます盛んになっていること、節分行事は幼児のころから保育園や幼稚園で必ずと言っていいほどなされているのを見ると、日本の伝統はうまく引き継がれているなあ、と感ぜずにはおれません。これまであまり興味がなかった行事も、今年は家でやってみるかな、という気になります。

 

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