ほんとに怖いムチの営業トークに負けない 真の「高性能住宅」をつくる良い工務店の見分け方手順
- 2020/8/1
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「良い工務店にはどこに行けば会えるのか?」
家を建てようとして勉強し、高性能住宅を手に入れたいと思った時、自分が温めてきた「理想の家」を建ててくれる工務店が、果たして近くにいるのだろうか?という問題にぶち当たります。効率よくいい工務店に出会うための手順を1級建築士Babaがお伝えします。
「高性能住宅」をつくる良い工務店の探し方5つの視点
良い工務店の探し方として次の5つほどご紹介します。
1.地域型住宅グリーン化事業採択を受けたグループに属する工務店
2.ZEHビルダー/プランナー登録している工務店
3.地域のの特性に合った提案ができそうな工務店
4.技能のある大工さんと付き合っていそうな工務店
5.最新技術の吸収に努力しているニオイがする工務店
以上5つについて一つ一つについて解説していきます。
地域型住宅グリーン化事業採択を受けたグループに属する工務店
「地域型住宅グリーン化事業」とは、地球温暖化対策のための世界的取り決めの中で、CO2排出を減らし低炭素社会を築くために採択された、国によるアクションの一つであり、規定以上の性能を持った住宅を、登録済みのビルダーでつくったときに補助金を支給される仕組みになっています。
登録されている工務店は、それぞれ得意分野が異なったり、会社の規模も様々で、HPすら見つけられない工務店もあるにはありますが、一定の意識高い系工務店を探すうえで参考になります。中でも、「補助金実績あり」の工務店が狙い目デス。補助金をもらうかどうかは別として、補助条件や補助金申請手順を熟知している方が有利です。
【調べ方】
1.地域型住宅グリーン化事業の工務店を探す
2.検索では「県」単位で登録工務店が一覧されます。表の一番右に書かれている、「補助金実績」がアリで、お近くの工務店のホームページを見ましょう。
ZEHビルダー/プランナー登録している工務店
地域型住宅グリーン化事業補助金にはいくつかのタイプに分かれています。
■「長期優良住宅」国交省
スクラップ&ビルド型の社会から、「いいものを作って、きちんと手入れをして長く大切に使う」ストック活用型の社会への転換を目的とする。
■「認定低炭素住宅」国交省
東日本大震災をきっかけにエネルギーの需要が変化し、地球温暖化問題に関する意識が高まり、低炭素・循環型社会の構築を図り、持続可能で活力ある国土づくりを推進する目的とする「エコまち法」により策定された。
■「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)」経産省・環境省
エネルギー政策に基づいたエネルギー計画推進のために設けられた。消費エネルギーを減らしエネルギーの自給自足だけでなく、災害にも耐えて暮らし続けられる「蓄電」システムを加えたZET‐Rまである。
最新のエネルギー計画に寄り添う住宅には補助金がでます。
【調べ方】
1.ZEHビルダー/プランナー一覧
2.検索条件を選択します。地域の工務店一覧の場合は「都道府県」から選択します。
3.工務店に星の数がついています。星の数については、判定基準が良くわからないため、こだわらず近くの工務店のホームページを見ます。はじめからZEHにするか否かは別として、ZEHに対する考え方をしっかり持って取り組んでいる工務店が良いです。
地域のの特性に合った提案ができそうな工務店
地域型住宅グリーン化事業それ自体が地域の材木を使用するなどのことを推奨していますが、地域型住宅グリーン化事業に参加していなくとも「高気密」を得意とする工務店もときどき見かけます。
地域の工務店は「家のホームビルダー」になってくれる可能性が大です。小さい子や、シニアの家族がいる時、かかりつけ医、ホームドクターがいると安心ですよね。学会などに出て最新技術や考え方などの情報を常に得ているという風でもなくても、ちょっとした体の心配事の相談に乗ってくれるような専門家が近くにいることで、安心して暮らることができます。
それと同じで、「台風で塀が壊れた」とか「雨漏り修繕」とかをフットワーク軽くやってくれる「家のホームビルダー」がいた方がなにかと便利です。求める高品質・高性能な家をそんなビルダーに依頼できれば、家の生涯を見てくれる心強さがあります。
地域工務店が長く続いている理由は、愚直なまでの誠実さがあるからというのも一つの大きな理由になります。いるんですよね、時々。着手金を持ち逃げするヤツが。だからこそ、逃げも隠れもせず地域で信頼を築いている工務店はお勧めできます。いうべき事は言えて、角が立たない関係が作れれば最強です。
【調べ方】
・「地域名(〇〇市) 工務店 高気密工事」
・ホームページを見て「企業情報」「会社概要」に会社の沿革や創業年を調べましょう。
・どのような高気密工事が為されているか、工事写真などがUPされているとGOOD!です。
技能のある大工さんと付き合っていそうな工務店
工務店によっては、自社大工さんをたくさん抱えている会社もあります。そうでなくても、付き合いのある大工さんがいます。昔から行われてる在来軸組み工法で作る場合、腕のいい大工さんが力を発揮します。木造建物のメインは大工仕事になります。高性能住宅を目指す場合は、「雑な仕事」をされることは避けたいものです。
監督さんの力量も大事ですが、監督さんが信頼できる大工さんが家をつくってくれるという安心感は重要です。重要なのですが、ハウスメーカーで家をつくる場合、実際に家をつくる下請けの工務店は選べず、運が悪ければ残念なことになります。気密測定もなされないでしょうし。
最新技術の吸収に努力しているニオイがする工務店
地球環境により、あるいは起きる地震や台風、気候変動などに対処するため、国の政策も打ち出されています。国の政策に従い、建築業界も耐震技術をはじめとし、工法、断熱技術、素材など日進月歩で更新されています。そのような中で、古い情報のまま家をつくってしまうとエネルギーロスになるばかりでなく、せっかくお金をかけても資産価値がない家ができてしまったらもったいないですね。
古い情報とは例えば
「高断熱高気密住宅は日本の気候に合わない」
→結露対策・換気計画でクリア!
「高断熱高気密住宅は息苦しく、夏は暑い」
→湿度・温度コントロールのために適宜エアコンを稼働する
「今はどこでどんな風に作っても、昔よりは暖かい。こだわって高性能にする必要はない。」
→前時代思考
「高性能にすれば工事費が高くなる」
→30年以上のロングスパンでのコストパフォーマンスを考える
「ハウスメーカーが技術的には最先端」
→グレードごとに性能や仕様が異なるうえ、施工技術もばらつきがある
「住宅の寿命は26年。伊勢神宮だって20年で建て替える」みたいなイメージです。
設計者がそのようなイメージを持っていたら困りますが、無知な営業マンのイメージで展開する営業トークで住宅を決めてしまうことの怖さがありますね。※伊勢神宮に関しては解体後の木材は他のお宮に使用されたり、とうとう使えなくなるまでリサイクルされる仕組みが確立されている。技術や秘儀の継承という深い意味合いもある。
技術や性能は、必要に応じて進化するものですし、建て主の方も最低限の知識を持っておかないと危険です。
さて以上、「高性能住宅」をつくる良い工務店の探し方として5つの視点をお話ししましたが、たどり着いたHPでは、何を見たらいいかを説明します。
「高性能住宅」をつくる良い工務店のホームページで見るべきところ
ホームページの重要性は、ここ10年ほどでかなり上がってきています。ホームページで自社の特徴を伝えようとするやる気のある会社も格段に多くなってきました。※工務店の中には口コミだけで仕事をしている場合もあり、やる気はあってもホームページがない場合もあります。
ある程度、「注文住宅の現状」情報が溜まっている場合は、地域の優良工務店をざっとピックアップして、その中から数社に絞ってモデルハウスやオープンハウスを見に行く感じになります。そこで、ホームページを見て依頼する工務店を絞る場合、どこを見たらいいのか、というところです。
家の性能についての記載
高性能な家を手に入れたい場合は家の性能についてホームページに書かれているかどうかを気にします。家の性能、というからにはキッチリ数値で表記するべきだと思います。「等級」なり「UA値」なり「C値」なりが、ホームページに表示されているのはありがたいですね。
時々「家の性能」ページを作っていても、具体的な工法や数値を示していないホームページを見かけます。というか結構あります。測定しなければわからない数値に関しては、間取りや断面の違いなどあって、数値は家ごとにバラつきがありますからホームページには書きづらいというのもわかりますが、一度計測して出た数字であれば書いてもよいと思うのです。実測値とは異なる場合があると、注意書きしておけばいいと思います。
気密工事へのこだわりについて触れているかどうか
日本の住宅が26年しか持たなかった時代、その原因の主なる要素は「壁内結露」「シロアリ」とされています。壁の中には主要構造部である、柱や梁、筋交いがあるわけで、それらが結露で腐ってしまったり、シロアリ被害を受けてしまったら、その家はあんまり長持ちしないんですね。
「壁内結露」や雨漏りなどで壁内に湿気がこもり、木が腐り、湿気を好むシロアリにやられます。その点だけ見れば、古民家のつくりは竹小舞に土ぬりかべで、材木が腐ってしまうことを防ぐことができたのです。外来種のカンザイシロアリがいなかった頃は、シロアリ被害も少なく、長持ちしたのです。ただ、冬は外にいるのと同じぐらい寒かった。囲炉裏や炬燵で部分暖房してすごしたのですね。「夏を旨とする」家だったのです。人々のライフスタイルが変わり、快適な健康生活のためにエネルギーロスは免れず古民家は廃れていったのです。
高温多湿の日本で結露を食い止めるために必要なことが「高気密工事」です。湿気・結露が家の耐久性を短くする要素なのですからそれを防がない家は高性能とはいえません。
是非とも、高気密工事としてどのように考え、どのような工事を行っているかを調べてみましょう。気密測定は工務店の施工がうまくいっているかどうかの通信簿だとして、工事中と完成時の二回も測定する会社もあります。完成してから気密施工が失敗したとわかっても修繕が大変ですからね。それくらい気を使っている会社なら安心ですね。
ある工務店では気密工事約20万円という積算がでていました。断熱工事と気密工事は別なのです。
耐震等級3は確保できる?
熊本地震を経験して、震度7の「前震」が起き2日後再び震度7、その後も震度6弱がたび重なったことで、じわじわとダメージをあたえる地震への対策が求められるようになりました。最低限と言われる建築基準法の耐震強度の1.5倍の耐震等級3、それにプラスして「制震システム」を取り付け、地震の揺れをまともに受けない方法を取れればなおよし!(※構造屋さん弁)
どこの工務店もそうでしょうが、予算により性能のグレードを落とすことは可能でしょう。工事できる知識と技術を持っていることが大事です。
建築士事務所登録をしている会社か?
1級建築士、2級建築士などで建築士事務所登録をしている会社では、社内に設計部がアリ、そこで設計図書を作成しています。確認申請など役所などへの申請書類関係を自社で行うことができますし、何よりも「設計者」「工事者(監督)」の意志疎通がスムーズに行えることが最大のメリットでしょう。
デメリットとしては、設計者と工事者の間にチェック機能が働きにくいことでしょう。社内での力関係にも寄りますが。設計者が工事監督でもあるというケースは、時間的にも費用的にも一番が無駄がないともいえます。「建築主」にしてみれば、自分と意思疎通を図った人が図面を書き、見積もり、工事も見てくれるという安心感があり、考え方がフィットするならば一番いいでしょう。が、設計者であり現場監督でもあるという人は、昔の大工さんのようですが、分業が進んだ今では見つけるのはなかなかむつかしいですね。
建築事務所登録をしていない工務店に依頼する場合は、下請けの設計事務所が図面作成や申請関係を請け負います。下請けもしくは「コラボ」と表現し、自由設計やデザイン力を売りにして「建築家とつくる家」とする商品を出す工務店もあります。
設計事務所や建築家の名がキチンと立っている家は「間取りのつくり方」や「全体バランスの美しさ」に差がつきます。「なんか、センスが違うんだよね~」という感じ。
「引き渡し後の定期点検にはだれが来てくれる?」わかっているのも吉!
「高性能住宅」をつくる良い工務店の探し方、見つける手順みたいなものを書いてきました。今は「住宅系」とか「建築系」ユーチューブで、いろいろな情報や考え方などを話されています。「高気密」で検索すると、いくつかの動画がUPされます。建築家によるものや、工務店が実際に気密工事にあたって感じていることなどを熱く話されていて参考になります。
断熱に関しては「素材」と厚みにより性能の差や特徴がはっきりしていていますが、気密工事に関しては「ノウハウ」「技術」がより必要で、そこで工務店の差が目につきやすいと思うからです。
工務店・ビルダーから見れば、「なにいってんの、この意匠屋さん。んなことできるか。」ということもあるでしょうし、建築家から見れば現場でダメがないか、あれば「やり直し!」ってね。どっちもイニシアティブをとりたいと思っています。でも、実際に家を建てる人の半分近くはハウスメーカーで建てる・・・ということは、家を建てる大きな窓口はもう一つあって、それがハウスメーカーの「営業担当」です。
高性能住宅を建てる場合、イニシアティブをとるのは誰がいいのか?窓口(イニシアティブをとる人)を「設計者」「工事者」「営業マン」の中のだれにするか?それも課題の一つですね。というか、いまは、ほとんどハウスメーカーの「営業マン」ということになっていますが。ハウスメーカーの営業ですから人によっては無知ですし、成績を上げられればいいと思っているし、移動するし、辞めます。家を末永く見守ってくれるのはだれかというと、実際に工事に携わった人であることが安心の元になります。実際に1年点検とか10年点検などをするサービスがある場合、だれがくるのかわかっているということも、工務店選びのアドバンテージになりそうです。
トップ画像出展元:Photo by Tim Arterbury on Unsplash
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